幼馴染が仮想通貨ポンジにはまっていたのでセミナーに潜入した話
小学3年の春、クラスに転校生がやってきた。
真城(仮名)君だ。
運動神経抜群、関東弁、色黒で笑顔がかわいい男の子。
私は真城君とすぐ親友になった。
スマブラしたし、秘密基地作ったし、一緒に先生に怒られたし、喧嘩して仲直りしたし、好きな子の話もした。
しかし真城君は転勤族で、たったの2年で転校してしまった。
〜
約20年後、ミニ同窓会をすることになった。
当時の担任の先生、真城君、友人2人、私、計5人の同窓会。
昔話に花を咲かせつつ、私は仮想通貨トレード専業、真城君は消防士(仮)、みんなそれぞれの道を歩んでるなーという話をした。
その帰り、私と真城君はタクシーで2人になった。
真城君が唐突に言った。
「俺も仮想通貨投資やってるんだよね。Aliexchengeってやつ。」
私「さっきは隠してたのか!仲間やん!Aliexchenge聞いたことないな、帰ったら調べてみるわ。」
仮想通貨どっぷりな私が聞いたこともないなんてちょっとおかしいなと、一抹の不安を覚えながらもその日は楽しく解散した。
〜
翌日、Aliexchangeについて調べてみた。
ほぼ100%ポンジスキーム(詐欺案件)だった。


話を聞くと配当は月8〜12%。
配当と言ってもネット上の残高が増えているだけ。引き出したことはないらしい。
1口(約140万円)を既に入れてしまっているようだ。
そりゃ突然詐欺だと言われても信じられない、信じたくないだろう。
偶然にも近々大阪でセミナーがあるということで、私は潜入することにした。
目的は、真城君にAliexchengeはポンジであることを証明すること、逃げる方法を見つけること、だ。

会場は広めの貸し会議室。
入り口で1,000円を払う。決済手段は現金のみ。領収書はない。
セミナー参加者はざっと30人くらい。
なぜか若くて可愛い女性と地味な男性のペアが多い。
その理由は後で判明する。
講演者は菅井という男。

ザ・やり手営業マンという感じ。
めちゃくちゃトークが上手い。
前半はまともな、お金についての本当にタメになる話だった。
一点だけ異様だったのは、一部のセミナー参加者のテンションだ。
笑いどころは大爆笑、タメになる話はうんうんと頷く。
若くて可愛い女性の参加者の正体がなんとなくわかった。
客ではない、客を連れてくる側の人間なのだろう。
出会い系とか相席屋で知り合った女性から投資セミナーへ勧誘される。あの手口だ。
終盤でやっとAliexchengeの話が出てきた。
海外の超有名取引所。月利8%保証。ステーブルコインで原価は割れないけど値上がりも期待できる(⁉︎)
嘘ばっかりだ。
前半の90%の真実と、本題の10%の嘘。
これが上手い詐欺師のやり方なんだなと感心した。
仮想通貨をかじった人からしたら簡単に見破れるレベルの詐欺案件。
だが知らない人には十分もっともらしい。
その絶妙な塩梅だった。
質疑応答で矛盾を付きまくってこのセミナーを無茶苦茶にしてやろうと意気込んでいたが、質疑応答タイムはなかった。
(今思うと命知らずだな汗)
セミナー解散後、菅井を呼び止めてAliexchenge案件の矛盾を突きつけた。
「詳しいですねえ。参加したい人は沢山おられるので、無理に参加しなくて結構ですよ。」
とのこと。
ややこしそうなやつは弾く。そりゃそうだ。
しかし収穫はあった。
セミナーに参加した上でさらに詐欺を確信したし、「菅井祐介」を検索してみると過去の被害報告がワラワラ出てきた。
菅井祐介、菅井裕太、菅井祐侑介、と名前も複数使い分けているようだ。(なぜか2026年現在はその情報はほとんど出てこない)
意気揚々と真城君に報告した。

少し話をしたが最終的な真城君の返事はこれだった。

まさかの伝わらなかった。
私はセミナーに参加してまで真城君の説得に失敗したのだった。
〜
その1年後、真城君が大阪に来る用事があってランチに誘ってくれた。
Aliexchengeからは1円も返ってこなかったが、高い勉強代だったと笑っていた。
結果は残念だったが、元気そうで安心した。
今はそのAliexchengeの縁で出会った信頼してる人に誘われて「環境」っていう活動に参加しているんだと目をキラキラさせていた。
毎月3万円のセミナーに通っているとのこと。

高い勉強はまだ続いていた。
おしまい。